県庁所在地で、人口およそ40万人を擁する宮崎市。
その南に隣接し、プロ野球のキャンプや美しい海岸線を活かした観光が盛んな日南市。
この両市の間を移動するとき、最も利用される交通機関は、もちろん自家用車です。
…とはいえ、両市を結んでいる道路は今までとても脆弱でした。
車が通れるマトモな道は、海側の「国道220号」と、山側の「県道28号(日南高岡線)」の2つがあります。しかしどちらも「走りやすい快適な道」とは言えないのが現状です。
国道220号は、東側が海に接しており、美しい日南海岸の絶景を楽しみながらドライブをすることができます。
しかし、リアス式の海岸に沿って走るということはそれだけカーブが多いということであり、グネグネと曲がりくねった道を40分ほどひたすら走らなければなりません。
山側の県道28号も、山道をひたすら走るためカーブが多く、思うようにスピードを出すことができません。
宮崎市側では田野IC(宮崎道)、日南市側では日南北郷IC(東九州道)※隣の日南東郷ICとの一区間のみ開業済み※と接続しており、県道ながら両市の間を移動する場合はこちらが最短ルートとなっています。
さて、宮崎市と日南市の間には、宮崎交通が路線バス1走らせています。
このバス、最短経路である県道ではなく国道の方を通っており、通常時に県道を走破する路線バスはありません。
観光地が多く、また宮崎空港にも立ち寄ることができる海側経由のほうが需要が大きい、というのが理由と思われます。
バスのルート沿いには、県を代表する観光地がわんさか軒を連ねています。
風光明媚な海岸線を持つ青島や堀切峠、モアイ像が立ち並ぶサンメッセ日南、洞窟の中に社がある鵜戸神宮など、海の絶景を堪能できます。
終点近くでは、港町の情緒が残る堀川運河、飫肥の城下町は、江戸時代からの風情をよく残しています。
観光地抜きにしても、国道のすぐ脇に広がる日南海岸の素晴らしい眺めが続いており、観光にはうってつけのバス路線です。
以前、YouTubeでこのバス路線を特集した動画を上げているので、よろしければご覧くださいm(__)m
そんな路線バスですが、ある重大な欠点があります。
それが「とにかく時間がかかる」という点です。
起点の宮崎駅から終点の飫肥まで乗りとおすとなんと2時間!
起点から終点まででなくとも、例えば宮崎と日南、それぞれの市役所の最寄りバス停同士2を乗車する場合でも1時間45分ほどかかります。
このバス路線におおよそ並行するようにJR日南線が走っています。
日南線は典型的なローカル線であり、
スピードが遅くオンボロのディーゼル車が使われています。
にも関わらず、同区間を1時間20分ほど3で移動できてしまいます。
JRの方がバスよりもはるかに便利であるため、
地方の公共交通機関では貴重な利用者である学生もJRに奪われてしまっているのが現状です。
カーブの多い国道を走る上に、宮崎空港に立ち寄ったり、宮崎市内では信号が多く渋滞も激しい旧道をノロノロと走るため、これだけ時間がかかってしまうのです。
時間がかかりすぎるのに加えて、運賃もJRの倍近くかかってしまいます。
近くに駅がないようなところに住む学生や、買い物に行くお年寄りくらいしか使わないのではないでしょうか。
それまで運転されていた、通学に便利な便(宮交シティに7時25頃到着)がダイヤ改正で減便されたことからも、通学に使う学生がほどんどいないであろうことがわかります。
JR日南線に対して絶望的に不利なバスですが、近々転機が訪れるかもしれません。
前回の記事でふれたように、宮崎市~日南市を直接結ぶ高速道路が開通するのです。
現在の最速ルートである県道、および接続する高速道路を使っても、市役所同士の移動には1時間近くかかっています。
しかし、清武南IC(東九州道)と日南北郷ICとの間の高速道路が
2023年3月25日(土)
に開業予定です。
この道路が開通すれば、両市の間は45分ほどで移動できるようになります。
この区間に高速バスが走るようになったらどうでしょうか。
うまくいけば、JRを巻き返すことができるのではないでしょうか。
次回は、高速道路が開通した場合、バスとJRの関係にどのような変化が起こるのかを考察していきます。
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