宮崎で大規模イベントは開けるのか? – (1)「ひなた」の聖地は陸の孤島

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「持つとしたらこうですね」っぽい宮崎県の画像

「陸の孤島」である宮崎で、アイドルグループ「日向坂46」の大規模コンサートが開かれることが決まった。

宮崎県は、太平洋(日向灘)と九州山地に挟まれているせいで陸路のアクセスが悪く、同じ九州内の福岡市からですら、車で4時間近くかかる。1

九州島外ともなるとなおさらだ。
新幹線が通っていないため、大阪など本州の大都市へ行くとなると飛行機になる。

飛行機なら所要時間は短くなるが、一方で乗るハードルは高い。
「気軽にフラッと」乗れるものではないだろう。

日本の多くの地域にとって、
宮崎県は 心理的にも、金銭的にも「遠い場所」 なのだ。

非公式ではあるが、ある地理系ユーチューバーが行ったアンケートでは
「一度も行ったことがない都道府県ランキング」で栄えある(?)第1位に選ばれた。

文化面の格差

筆者は宮崎県出身だが、特に不利益を被っていると感じるのが文化面だ。

宮崎県には民放が2局しかなく、見られるチャンネル数が非常に少ないことで知られる。
これについては、最近はネットの普及でそのような「情報格差」もかなり減った。

しかし他にも文化面の格差として、大規模な音楽イベントの圧倒的な少なさがある。
ようやく本題の登場だ。

宮崎は都会から遠いため、集客にどうしても難がある。
イベント会社が地方でイベントを開く際、宮崎は真っ先にその開催地から外れる県だろう。九州内でやるとすれば福岡、百歩譲って熊本や鹿児島となる。

そんな宮崎県でもコンサートやライブが開かれることはある。
しかしテレビで流れる広告の多くが、昔懐かしの演歌歌手だったり、聞いたこともないマイナーなバンドだったりする。
若者受けのいいアイドルや音楽ユニットのライブではないので当然そこまで人が集まる訳もない。

筆者は正直こうしたイベント・催し物には全く詳しくない。今までの説明に間違いがあったら申し訳ないが、全国47都道府県の中でも、大規模イベントが行われる機会はワースト級の少なさなのは間違いないだろう(鳥取・島根・高知あたりがライバルになる)。

音楽好きの若い県民が有名グループのライブに行くとなると、高速バスで片道4時間半かけて福岡まで出なければならない。東京や大阪に実家や拠点がある人たちと比べると、出費も時間も甚だ多くなってしまうわけで、音楽イベントが好きな人たちはさぞ大変だろう。

大規模なイベントがあれば、県外から来た人が県内からお金を落としてくれる。
その分県民の懐が潤うわけだが、そうした機会がなかなか無いわけだ。

宮崎県と日向坂46「ひなた」の縁

そんな「ライブ過疎県」である宮崎県に、今年2024年の4月に届いた

「ひなたフェス2024」開催決定

のニュースはまさに青天の霹靂だった。

「日向坂46」のロゴマーク

アイドルグループ・日向坂46(ひなたざかフォーティーシックス)は「坂道シリーズ」と称される、秋元康氏プロデュースのアイドルユニットの1つで、2015年に結成された。
もともと「けやき坂46」と名乗っていたが、諸事情により2019年に現在のグループ名に改名。由来になったのは東京都に実在する「日向坂(ひゅうがざか)」だ。

読みが違うのは画数の運勢を考慮してのことらしいが、いずれにせよグループ名のおかげで宮崎県との縁ができた。

同県はかつての「日向国(ひゅうがのくに)」であり、また「日本のひなた」という謳い文句で観光アピールを行っている。
そうした縁で、日向坂46のメンバーは改名以来何度も宮崎ロケを行ってきた。

ロケを重ねるにつれてメンバー・関係者共に宮崎との絆が深まっていったといい、結果的に今回のフェス開催につながった。

2024年(令和6年)9月7日(土)と8日(日)の2日間にわたって開かれる。

東京では知名度のある音楽ユニットの単独ライブなんぞ毎週のように開かれているのかも知れないが、宮崎県にとってはほとんど前例がないはずだ。
長年大型イベントの機会がなかった県民にとってはまさに悲願といえる。

アクセス路線「JR日南線」の車輌

地元もイベントにはかなり協力的だ。
JR九州は、会場へのアクセス路線を中心にで大増便を行うほか、バス会社である宮崎交通も、空港や宮崎市街地と会場とを結ぶシャトルバスを多く運転する。

民間企業だけではない。県や地元の自治体もかなり協力的だ。
詳しくは次回述べるが、県の持っている土地をイベントの臨時駐車場として貸し出したり、県内の日向市が日向坂46とコラボしたりしている。

「新幹線のない県」

県民が一丸となってライブを成功させようとしているなぁ。
そう感じていた中、X(旧ツイッター)に投稿されたとあるポストが目に飛び込んできた。

この投稿にどう感じたのかは次回話すとして、氏の言うことにも一理ある
宮崎県は公共交通が弱い県だ。脆弱なインフラではライブに訪れる膨大な数の人を運びきれない恐れがある。

また道路についても、貧弱であれば 会場周りで大渋滞が起きてしまう可能性 がある。
最悪の場合、渋滞のせいでシャトルバスが動かず、乗る予定だった列車に乗れずに宿までたどり着けない、という人が出てくるかもしれない。

この投稿に意見するため、

「新幹線もない県で」大規模ライブを開いてはいけないのか、

について、いろいろと考察してみた。
幸いにも筆者は鉄道・バス系のYouTubeチャンネルを持っており、専門家には及ばないがこの手の分野には少し詳しい。

いろいろと検討してみた結果、意外なことがわかった。

今回のライブは「新幹線がないからこそ」成功する

なぜそのような結論になったのか、次回から詳しく説明していきたい。

宮崎で大規模イベントは開けるのか? - (2) キンプリ新山口事件
https://ikeboichi.blog/269/

注釈

  1. 宮崎市まで

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